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この人の一篇◆椎名美知子さんからの詩の贈りもの〔其1〕

  お日様
             椎名美知子

今日は
とてもいいお天気
ベランダに干したお布団で
きっとお日様がいっぱい
お昼寝しているよ

夜になっても
お日様は隠れていて
ぽかぽかあっためてくれる

そんなあったかいもの
いつも持てたらいいな
曇っているときもあるよね
雨の時もあるよね
いいお天気の日には
たくさん蓄えておこうね

誰かをあっためられたらいいな
自分もあったまれたらいいな

ほんわり
お日様みたいだったらいいね


# by bashomeeting | 2021-11-27 15:13 | Comments(1)

この人の一篇◆椎名美知子さんからの詩の贈りもの〔序〕

  故郷に母在りし日の小春かな  海紅

 平成18年(2006)4月以降、芭蕉会議サイトに海紅句抄というタイトルで、月にふたつの拙い句を示して、各位に批判を乞うているが、掲出句「故郷に」は11月前半の一句である。
 ひごろ、〈俳句を含む詩歌は作者のものである以上に、読者のものである〉と言っているボクの意図をくんで、折々の感想を寄せていただいているが、過日詩人の椎名美知子さんから「この句から三篇の詩ができたので、お暇なときに読んで・・・」というE-mailが届いた。一人占めするのはモッタイナイので、この序に続いて紹介します。
 詩のみならず、連句の付句がうまれる場所を示唆するものとしてお読みいただければ幸いです。


# by bashomeeting | 2021-11-27 15:07 | Comments(0)

紹介◆宮野惠基著『歌人が巡る中部の歌枕 北陸の部』(文化書房博文社刊)

 宮野惠基氏の『歌人が巡る中部の歌枕 北陸の部』(文化書房博文社、令和3・10・25刊)が出た。「歌人が巡る歌枕」シリーズの六冊目にあたる。この間に『短歌でめぐる四国八十八ヶ所霊場』と『全国歌枕総覧』という大冊も世に問うているから、すでに偉業の名に価するであろう。著者は〈歌枕ということばとの出逢い〉は谷地の『おくのほそ道』講義にあったと書いている関係で、前著『歌人が巡る九州の歌枕 宮崎・鹿児島・熊本・佐賀・長崎の部』以降、「講評」という題目でわたくしも一文を草して、その研鑚を讃えている。家持が後世に残した和歌伝統や、芭蕉の歌枕探訪の意味を探る人にはきわめて示唆的な著書として、座右に置かれることを願っている。
# by bashomeeting | 2021-10-26 19:42 | Comments(0)

忍耐の手帳から◆国家の安全や人道にそむく命令に従ってはならぬ(ド・ゴール)

国家の安全や人道にそむく命令は拒否できるばかりか、実行せず、上級へ訴えねばならぬ。
                             シャルル・ド・ゴール

▶▶シャルル・ド・ゴール(1970没)はフランスの政治家で軍人。第18代フランス大統領。フットボールと詩の好きな少年であったという。
▶▶断捨離の中で、小さな手帳を含めると30数冊の日記が出て来て、一気に断裁して捨てる方法を模索していたが、複数の友人たちから、「まだしばらく保管しておけ」と言われて、そのままになっている。チラチラ覗き読みをしていると、ド・ゴールのこんな書き留めが出て来た(どこのスクラップか、出典を記録していなくて申し訳なし)。これらの日記には当時「忍耐の手帳」という名前をつけているから、自分自身を支える一本の杖の役目を果たしていたことは間違いない。多くは辛くて読むに堪えない内容だが、こうした名言は紹介してもよいかなと考えて抽出。しかし、組織で生きていると、こんな名言のようには生きてこられなかったなあとしみじみ思う。比較的自由な研究者の世界においてもそれはあまり変わらなかった。誠実に生きるのはむずかしい。

# by bashomeeting | 2021-10-11 17:18 | Comments(0)

来簡◆普通の生活って何だろう

 今年も終戦記念日が過ぎて、もう9月なかばである。コロナ渦にあって、ものごころがついたばかりの子供たちは外に出るときは必ずマスク、家の中では静かに遊ぶ、それが普通の生活と思っているのだろうなあと考えたりする。
 また私の幼いころの話。戦争で疎開した先は北海道の祖父母の家で、オホーツク海寄りの片田舎だった。近くに広場があって、傍の急坂の下を頓別川が流れていた。「頓」はアイヌ語で「いくつにも枝分かれして流れて行くこと」を意味すると、祖父から聞いた気がするが、今はおぼろげな記憶である。
 遠い北海道も空襲や空襲警報と無縁ではなかった。家中のガラスは墨で黒塗りされて、朝に目が覚めてもお天気なのか、雨降りなのかわからない。いぶかしく思っていると空襲警報が鳴りだし、防空頭巾をかぶり、救急袋をぶらさげて防空壕に駆け込む。「空襲警報解除」とふれまわる消防団の声にノソノソと防空壕を出て家に帰る。
 そのうち、家の横の広場に大人たちが集まり、急坂の下の川から広場まで、二列に並んで「防空演習」。水の入ったバケツや砂バケツリレー、それが終わると「竹槍訓練」。「ワタシモ、ヤリタイナ」なんて思いながら、毎日飽きずに見ていた。これが、何の疑問も持たずに過ごした、小さいころの普通の生活だった。他に穏やかな日々があるなど想像もしなかった。
 戦後になって食料難の時代。「澱粉団子入りの麦ご飯のお粥」のこと。じゃがいもを潰して澱粉を入れて、それをこねて白玉団子ふうにしたもの。塩味だけの素朴なものだったが、大好物だった。
 最近、母親の後始末に格闘中。父母の古い戸籍を江戸時代まで遡ったり、生まれてから亡くなるまでのあれこれ。母が独身で美しかったりして癒やされるが、戦争前後のゴタゴタなども多くて、結構面倒な作業である。自分の子供たちには、こんなことさせずに済むようにしたいと思いつつ、がんばっている。コロナの終わるのを待っていたが、先が見えないので動き出すことにしたのだ。
 以上、今の子供には想像もつかない世界だろうと思って、近況報告をかねて書いてみました。 (T・M)

▶▶感染症対策が後手後手で、〈緊急事態宣言という言葉はもう何度も聞いたから、新しく何をするのか、したのかを聞かせてくれ〉と思うこのごろ。戦時中でもないのに「野戦病院」という言葉が行き交ったりして無神経だとも思う。そんなときに、疎開経験のあるT.Mさんから便りがあった。自分の生い立ちを踏まえて、「普通とは何か」を考えさせられる内容だった。よって、御本人の了解を得て紹介。

# by bashomeeting | 2021-09-18 12:30 | Comments(1)

芭蕉会議の谷地海紅(本名は快一)のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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