夕食後になにげなくTVを見ていたら「NHKスペシャル」であった。「日本海軍400時間の証言」という企画の第二夜ということで「やましき沈黙」というタイトルがついている。八月は毎年こういう特集があって辛いので、TVは見ないようにしているのだが、この夜は逃げ出すタイミングを失った。「生きる」選択肢を百パーセント奪い取った特攻隊という戦略で、五千人以上の若者を死に追いやった元海軍の中枢の人々の証言を編集したものだが、それを聞く限り、なにをか言わんやである。モノの言える距離を保てないなら組織にいる資格はない。
霊あらば親か妻子のもとに帰る靖国などにゐる筈はなし 市村 宏(『東遊』)
長崎の原爆の跡みてしより描き続けて撓まず倦まず 同(『千曲川』)