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流行と風流と

 平成九年(1997)流行した言葉に「マイブーム」がある。『現代用語の基礎知識』によれば、みうらじゅんなる漫画家が仕掛けた言葉で、世間と無関係に、自分だけの流行を持とうという生き方をいうらしい。本書には、流行という概念自体をぶち壊した世紀末的言葉、という誇大な評価が下されている。だが流行(boom)に自分だけ(my)はない。流行とは一般にゆきわたるという前提条件を充たした結果をいう。ちなみに「不易流行」の流行は運動体としての変化をいう。万物流転の相である。
 「マイブーム」という言葉は、むしろ風流という言葉の原点に似ている。風流は意匠(工夫)を凝らした味わいのことだが、その趣向の原点はまったく個人的なこだわりに始まるからだ。それが社会化すれば流行である。流行は必ずすたれるから、前代の遺風もまた風流の枠組みに含まれる。「マイブーム」は独りよがりを本質とするから、その内実を一般化できない。だから、風流をみやびなこと、華美なことと説明する国語辞典は誤りである。ただし、美しいということを不可欠な要素としてよいと思う。たとえば、「風流の初やおくの田植うた」(『おくのほそ道』)の「風流」とは〈みちのくのみちのくらしい美しさ〉のことである。
by bashomeeting | 2009-10-18 12:58 | Comments(0)

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