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季語と風土◆稲田眸子

   俳話断章・題詠       稲田眸子

 三郷市俳句塾の講義の二回目は「季語に学ぶ」であり、講義の冒頭、次のような話から始めた。
 「江戸川をよく散策します。先日も妻と連れだって江戸川の堤を歩きました。土手やその土手沿いの畑の畦道には、彼岸花が真っ赤に咲き誇っていました。なぜ彼岸花は土手や畦道に咲くのか、ふと疑問に思い、二人で話し合いましたが、解答はありませんでした。自宅に帰り、辞書で調べてみました。辞書によれば、彼岸花の根に毒性があり、土竜除けになるとありました。更には、毒抜きをして飢饉の際の食料にもなったとも書いてありました。それで昔の人は田畑の縁に植えたのでしょう。大きく頷きました。私たちは、彼岸花が咲くとその美しさに見とれ、それを句にしがちです。彼岸花に関わる風土まで知ろうとしません。私たち祖先は自然とともに生きてきました。日本の自然の中には八百万の神が住み、精霊も妖怪も物の怪も混沌の内に存在し、人間と隣人のような感覚で共存していたのです。このような中で培った考え方や感じ方は日本独特の文芸である俳句を生み出したのです。その中核が季語なのです。季語とは単なる言葉ではないのです」と。
 季語ともっと深く付き合いたいものである。  ―俳誌『少年』(十一月号)から転載―
by bashomeeting | 2009-11-08 16:39 | Comments(0)

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