招待券をもらったので、十一月二十七日(金)の夜に劇団Gooffy&Merry-go-roundの公演「Se eu Pudesse」(於 アイピット目白)を観にでかけた。江戸時代の奇才平賀源内が作ったエレキテルなる仕掛けが実はタイムスリップ機能を持っていて、それで現代と近世とを行き来するというコスチューム・プレイで、杉田玄白・田沼意次・松平定信・大槻玄沢など多彩な人物を交差させたファンタジック・コメディ。ただし、テンポのよさを命とするこの類の芝居としては出来栄えはきわめて悪い。小さな劇場にたくさんの仕掛けを盛り込んだための失敗とも、稽古不足とも、演出のまずさとも思われた。素顔に近い現代人と厚塗りの時代劇とのメイクが同じ空間を行き交うのもグロテスク。観客席はめいっぱいの椅子を入れて、幕が下りるまでの二時間、席を立つことができないのも、劇団としては配慮不足。苦痛であった。
安永8年(1779年)、源内は大名屋敷の修理を請け負ったが、酒に酔って修理計画書を盗まれたと勘違いした末に、二人を殺傷して投獄され、十二月半ばに獄死したとされる。門下の杉田玄白らが葬儀を執り行うが、幕府から許可は下りず、墓碑、遺体もない葬送だったという説がある。しかし、この類につきものの諸説がありって定説をみない。台本はそのあたりを趣向にして書かれたのであろう。作・演出沢村紀行。