kikueさんから久しぶりに便りをもらった。御無沙汰の挨拶に続いて、このところ体調が思わしくないので、句作をやめようと思う、と書いてある。鳩の会の発展とボクの活躍を陰ながら祈っている、ともある。鳩の会という兼題句会に発展などない、する必要もない。必要な人が、必要な分だけ日々の支えにしてくれればよい。また、ボクは活躍などしたことはないし、これからもしない。求められたときに求められたところに出掛けてゆく、それだけのことだ。俳句は「あるがままの今」を詠む。覚悟して始めたり、やめたりすることはない。こんなふうに、ブツブツ独りごちて、ふとkikueさんの様子が心配になった。
高等学校で教鞭をとりながら、研究を続けているemiから、年賀状以来の便りがあった。三年生を送り出し、一、二年生の成績評価も終えてホッとしているという。授業で漱石の『こころ』を講じて、なんだか大学が懐かしくなったとも書いている。今年こそ論文を一本仕上げたいと意気込んでもいる。高校教師をしながら、研究を続けるのがいかにむずかしいか、ボクは誰より知っているつもり。だから、軽率に励ましたりなどしない。こっそりと祈るつもりである。
ものの芽の風にとかれて明るしや 海紅