この人の一首◆森脇白觚 「現代踏繪」
2010年 05月 08日
不想今猶踏繪存 想わざりき今猶踏絵存すと
國歌齊唱亦爲寃 国歌の斉唱 また寃(わざわい)を為す
遲疑起立忽懲戒 起立を遅疑すれば忽ち懲戒
何異將軍専制門 何ぞ異ならん将軍専制の門と
―『裁錦會詩集Ⅹ』より―
〔裁錦會〕 昭和六年(一九三一)一月、学士会に発足した漢詩人の会。代表幹事亘信夫。戦中戦後の中断を経て、昭和四十二年に再開。『裁錦會詩集Ⅹ』序によれば、〈現在は隔月に例会にを開いて、会員が自主的に創作した詩草について、自由に討論し、お互いの詩力の向上に努め切磋琢磨し、推敲を重ねた詩稿を学士会会報に「裁錦会詩草」として掲載、発表〉、〈我が国最古の漢詩集「懐風藻」以来千三百年の日本漢詩の伝統を受け継ぎ、今後の漢詩・詩壇の振興と隆盛に少しでも役立てば幸い〉とある。『裁錦會詩集』は三年に一度を目途にして学士会裁錦会(千代田区神田錦町3)から発行される合同詩集で、第十集は2010年4月刊。