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現代語訳の意義◆付けの種類・付心・付味

 『俳壇年鑑』平成22年度版(5月1日刊)に掲載される「連句界この一年」を読んだ。そこで、執筆の二村文人さんが、「付心(つけごころ)」と「付味(つけあじ)」を明らかにする東明雅先生の連句注釈姿勢を評価していた。まったく同感である。関連して、連句における現代語訳に関する明雅先生の意見を〈連句注釈に厳しい指針を示したもの〉としている。これにも賛成。ただし、現代語訳に関する先生の意見は、そのまま発句にもあてはまると思っている。

〔付けの種類〕 前句の詞や物の縁による物付(ものづけ)、前句全体の意味や心持ちによる心付(句意付)がある。

〔付心〕 つけごころ。連句の附句において、前句をどのように受容し、対処するかという態度・姿勢をいう。各務支考が説いた有心附(有心・向付・起情)・会釈(会釈・拍子・色立)・遁句がよく知られている。関連する「付所(つけどころ)」とは、其人・其場・時節・時分・天相・時宜・観想・面影など、前句のさぐる手がかりのこと。

〔付味〕 つけあじ。前句と附句によって創り出される余情の世界を吟味するときの味わいの判定(『連句辞典』東京堂出版)。句意以外の勢いや情調で、うつり・響き・匂い(『去来抄』)という語で説かれる。

〔連句における現代語訳に関する明雅先生の意見〕 俳諧に現代語訳をつけるのは、蛇足かもしれないが、句意をどのくらい正確に理解しているか、それは結局は現代語訳にあらわれるものである。現代語訳を付けることは容易なようで難しく、誤魔化(ごまか)しがきかない。だから、作品鑑賞をする場合、自分の立場を明確にするためにも、現代語訳は必要で、現代語訳を付けないで曖昧なことを述べる批評や鑑賞を、私は信用できない。(中公新書『連句入門』148頁)
by bashomeeting | 2010-05-23 17:35 | Comments(0)

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