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八月が過ぎようとする夜に◆ぬけぬけと自分を励ますまじめ歌  吉野弘

  大袈裟に言えば、小学校時代の夏休みからずっとそうなのだ。そうなのだとはどうなのかというと、毎年いつの間にか夏休みは終わりに近づいて、ああお前は何をしてきたのかと自分を責め立てる。今年はそうはなるまいと、ボクはその日その日に仕上げたことを、毎日箇条書きにした。採点、礼状、投函、送金、講演、ゴミ捨て、犬のテツの散歩、金魚のエサやり、健康診断、ゴーヤの成長観察、ミョウガの収穫、なんてことを日誌に書き続けて、その結果はいままで以上に落ち込んでしまった。その間に、ボクの母校の小学校が少子化のせいで閉校との連絡があったりして、ますます落ち込む。記念誌をつくるから、小学校の思い出を書いてよこせといわれて、「あの日に帰りたい」などという題で小文をしたためて、ますます落胆。

    ぬけぬけと自分を励ますまじめ歌     吉野  弘

  他人を励ますのは、気楽です
  自分を励ますのが、大変なんです

  私は誰か、私は何か
  知ってしまったあとだもの

  私は自分に言い聞かせるの
  私はこれから咲く花ですよ

  それはちょっぴりウフフ
  それはちょっぴりアハハ

  都合のいい夢咲かせていよう
  私は遅咲き大輪の花

  自分をいじめるのは、子供です
  自分をいじめないのが、大人です

  アハハウフフ アハハウフフ
  私はウフフの大人でいよう
  アハハで励ます大人でいよう


       ―吉野弘 『夢焼け』 花神社による―
by bashomeeting | 2010-08-24 21:11 | Comments(0)

芭蕉会議の谷地海紅(本名は快一)のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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