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罪の意識と犯罪の事実◆「雪冤」というドラマを見た

 くたびれたので、数時間だらしなく休憩をしたい。ついては、気晴らしに何か録画してあるサスペンスでもないかしらん、と家人に問うと、少し重たい内容だがという注釈をつけて、「雪冤」というドラマを再生してくれた。題名は「セツエン」と読む。無実を証明し、罪のケガレを清めるという意味である。死刑を受け入れて死のうとする息子と、息子の冤罪を信じて真犯人の情報提供を呼びかける父の話。第二十九回横溝正史ミステリー大賞なるものを受賞した、大門剛明なる人の小説が原作とのこと。ストーリーも演出もたしかに重い。主題から判断して、刑場の場面などまったく不要であった。後味が悪い基本的な原因は、息子の内面的な罪の意識と、犯罪の事実とが、最後まで対峙することなく進んでしまうところにある。意識の問題と事実認識とは別次元の問題だから、その点を整理して物語を構築してほしいと思った。これでは死刑制度についても、冤罪についても思考が中途半端に放置されてしまうだろう。
by bashomeeting | 2010-10-04 09:59 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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