ネットという場をわきまえる◆10月3日の「大波小波」から
2010年 10月 04日
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「検索する私」が同時に監視されるという、近未来社会の恐怖を描いたのは、伊坂幸太郎の『モダンタイムス』である。特定のキーワードの組み合わせによる検索が、システム側の監視に引っ掛かり、そこから起こる恐怖、暴力…。だが、本当に恐ろしいのは、具体的な敵ではない。作中、愛原キラリの「その人の情報がどれだけ集まっても、その人間はできあがらない」という台詞は、残念ながら多くの人たちに忘却されている。忘却の上に、「検索による知」はできあがっている。 (トラえもん)