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俳人になっていたチカちゃん

 女性から「タニチさん…」と、尻上がりに「さん」づけで呼ばれるのは数十年ぶりのことであったろう。だからその人が受話器の向こうで旧姓を名乗っても、「あの…チカちゃん?」と答えるまでに時間がかかってしまった。
 Kさんにボクの近況を聞いて電話をしたのだと言われても、それが俳人のKさんとはすぐにはわからなくて戸惑ったが、やがて胸が詰まってしまった。名乗られてみると、それはまちがいないく「あのチカちゃん」の声だった。でも、Kさんと同い年よと言われて、また困ってしまった。だって、「あのチカちゃん」には三十数年も会っていないのだから。
 チカちゃんは俳人になっていた。利発な高校生であり、快活な大学生であったころの彼女からは想像もしなかった事態である。しかし夢のような事態である。世の中にはこんなことがあるのかとおどろいた。
 俳句を作る人は、どこにでも、いくらでもいる。でもその行き方はバラバラで、それはそれでよいのかもしれないが、行き方の違う人とは、やはりなかなか会話が成立しない。だから、懐かしいこと限りないとはいえ、少しの不安もあったのだが、『たかんな』という俳誌をいただき、句集『朳囃子』を贈られて安心した。同じゆきかたであることがなにより嬉しかった。
 翌日Kさんからメールが届いた。会ったときに話そうと思っていたのに、昨夜の千嘉子さんの電話には驚いたでしょう、という主旨であった。このふたりに感謝しつつ、奇縁ということばをかみしめた。
by bashomeeting | 2010-10-23 12:14 | Comments(0)

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