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日帰りの旅◆花供養と京都の芭蕉

 十一月二十日(土)、京都滞在五時間の旅に出る。日帰りの予定しか組めなかった。目的は「花供養と京都の芭蕉」というシンポジウムに参加すること。立命館創始140年・学園創立110周年記念事業で、文部科学省グローバルCOEプログラム。会場は同大学のアート・リサーチセンター。先年他界された櫻井武次郎さんの『花供養』関連の和書が立命館大学に入ったということで、同名の展覧会も充実していた。
 花供養は近世中期の俳人高桑闌更が展開した芭蕉顕彰事業で、東山双林寺境内に芭蕉堂を作って芭蕉を祀り、毎年三月には全国の俳人の句をあつめた『花供養』を刊行した。この度の企画は、その歴史的な意味を追究するもので、大津の義仲寺から発信された『諸国翁墳記』とともに、ボクには強い関心の対象である。パネリストとその演題は以下の通り。

「京都の芭蕉さん ―花供養と芭蕉塚―」竹内千代子(聖トマス大学准教授)
「花供養と京都俳壇」松本節子(元福井大学教授)
「花供養の書誌 勝田善助」 岸本悠子(立命館大学大学院博士課程)
「芭蕉堂と花供養」小林 孔(大阪城南女子短期大学教授)

 京都駅から衣笠までの往復にタクシーを使って、忙しい一日であったが、きわめて有益な一日であった。残る難問は、この成果をまとめる時間をいかに捻出するかである。
 運転手さんに、例年なら紅葉の真っ盛りだが、今年はどうかと尋ねると、始まりは幾分遅かったが、いまは例年通りの見ごろにであるいう話。日帰りでどこに立ち寄る時間もないボクは、街路樹の枝に雀が群れ来るたびに、そして飛び去るたびに枝を離れる枯葉を、タクシーの窓からながめつつ帰途についた。みやげは西尾の生八つ橋を少し。この店の創業は元禄二年(一六八九)、芭蕉さんが『おくのほそ道』の旅に出た年である。帰宅すると、雪虫が二、三庭先を行き来していた。

  日帰りの一人の旅の冬紅葉   海 紅


〔附〕独活さんから脇句をいただいたので

  日帰りの一人の旅の冬紅葉      海紅
  うれしくもありさびしくもあり       独活
  風邪ひいて読みさしの書を枕辺に   海紅
Commented by 畠山 広 at 2010-11-29 11:23 x
畠山です、こんにちは。先生の忙しくも有意義な一日の様子を拝見して、スクーリングに行く自分の姿が重なりました。東京に行けば様々なイベントだの名所旧跡の誘惑は引きも切りませんが、前日は図書館で予習をして、ホテルから大学の往復に終始し、あとはひたすら講義を受けて帰路につく。土産も買わず帰りの新幹線ではただひたすら爆睡です。これまた、忙しくも有意義な日々を過ごすのです。
ご多忙の中、ますますのご活躍を期待しています。

日帰りの一人旅の冬紅葉 海紅
うれしくもありさびしくもあり 独活
by bashomeeting | 2010-11-23 07:35 | Comments(1)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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