日帰りの旅◆花供養と京都の芭蕉
2010年 11月 23日
花供養は近世中期の俳人高桑闌更が展開した芭蕉顕彰事業で、東山双林寺境内に芭蕉堂を作って芭蕉を祀り、毎年三月には全国の俳人の句をあつめた『花供養』を刊行した。この度の企画は、その歴史的な意味を追究するもので、大津の義仲寺から発信された『諸国翁墳記』とともに、ボクには強い関心の対象である。パネリストとその演題は以下の通り。
「京都の芭蕉さん ―花供養と芭蕉塚―」竹内千代子(聖トマス大学准教授)
「花供養と京都俳壇」松本節子(元福井大学教授)
「花供養の書誌 勝田善助」 岸本悠子(立命館大学大学院博士課程)
「芭蕉堂と花供養」小林 孔(大阪城南女子短期大学教授)
京都駅から衣笠までの往復にタクシーを使って、忙しい一日であったが、きわめて有益な一日であった。残る難問は、この成果をまとめる時間をいかに捻出するかである。
運転手さんに、例年なら紅葉の真っ盛りだが、今年はどうかと尋ねると、始まりは幾分遅かったが、いまは例年通りの見ごろにであるいう話。日帰りでどこに立ち寄る時間もないボクは、街路樹の枝に雀が群れ来るたびに、そして飛び去るたびに枝を離れる枯葉を、タクシーの窓からながめつつ帰途についた。みやげは西尾の生八つ橋を少し。この店の創業は元禄二年(一六八九)、芭蕉さんが『おくのほそ道』の旅に出た年である。帰宅すると、雪虫が二、三庭先を行き来していた。
日帰りの一人の旅の冬紅葉 海 紅
〔附〕独活さんから脇句をいただいたので
日帰りの一人の旅の冬紅葉 海紅
うれしくもありさびしくもあり 独活
風邪ひいて読みさしの書を枕辺に 海紅

ご多忙の中、ますますのご活躍を期待しています。
日帰りの一人旅の冬紅葉 海紅
うれしくもありさびしくもあり 独活