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新方丈記1◆東北地方太平洋沖地震のお見舞いを申し上げます

 方丈記の地震の記事 ― また同じころかとよ ―

 また同じころかとよ。おびたたしく大地震(おほなゐ)ふる事侍りき。そのさま、よのつねならず。山はくづれて、河を埋み、海は傾きて、陸地(くがぢ)をひたせり。土裂けて、水湧き出で、巌(いはほ)割れて谷にまろび入る。なぎさ漕ぐ船は波にただよひ、道行く馬は足の立ちどをまどはす。都のほとりには、在在所所(ざいざいしよしよ)、堂舎(だうじや)・塔廟(たうめう)、一つとして全からず。或はくづれ、或はたふれぬ。塵灰(ちりはひ)立ちのぼりて、盛りなる煙のごとし。地の動き、家のやぶるる音、雷(いかづち)に異ならず。家の内にをれば、たちまちにひしげなんとす。走り出づれば、地割れ裂く。羽なければ、空をも飛ぶべからず。竜ならばや、雲にも乗らん。恐れの中に恐るべかりけるは、ただ地震なりけりとこそ覚え侍りしか。(中略)かくおびたたしく震る事は、しばしにて止みにしかども、そのなごり、しばしは絶えず。よのつね、驚くほどの地震、二三十度震らぬ日はなし。十日、廿日すぎにしかば、やうやう間遠になりて、或は四五度、二三度、もしは一日まぜ、二三日に一度など、おほかた、そのなごり三月ばかりや侍りけん。
                       ―大福光寺本『方丈記』(角川ソフィア文庫による)―

〔解題〕この地震は元暦二年(一一八五)のこと(流布本系『方丈記』)。
by bashomeeting | 2011-03-13 10:19 | Comments(0)

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