少し身体の無理をして新年を迎えたせいか、いつまでも心の新年がやってこない。そこで、あくせく仕事をしようと力んでも始まらないと腹をくくり、歳末にツタヤから借りていた小津安二郎の映画『東京暮色』(昭32年 松竹)を見ることにした(ビデオを借りるのはこれで二度目。初回も小津であった)。見終わって、ようやく心の元旦が来た気分である。若いころの山田五十鈴は自然な演技ができたのだという発見もあった。「金鳳堂眼鏡店」という看板が何度も映っておもしろかった。実在するこの店の創業は、たしか相当に古いのではなかろうか。
そして、このごろはどうして人を殺す映画ばかりが作られるのだろうと思った。