坂本宮尾さんの御活躍を祈って
2012年 03月 28日
先生は青邨に師事した俳人で、俳壇では坂本宮尾という。「宮尾」はミヤオと読む。猫の自由さを好んで、その鳴き声から命名。「句会で名乗るたびに気恥ずかしいが、これで猫の仲間入りができるなら仕方がない」(「猫」)と書き、「おしゃれなシャム猫になるのは無理として、私は勝手気ままなノラ猫でありたい。そして、できれば長靴を履いた猫、はたまた猫型ロボットのドラえもんを親友にもちたい」(同)ともいう。ねっから「俳味」の人である。職場で俳人を匂わせず、英文学者の顔で通した自分を、隠れ切支丹と呼んで笑っていた。お別れに角川選書版『杉田久女』(角川学芸出版)と、句集『この世は舞台』(蝸牛社)をいただいた。前者は平成十五年に富士見書房から出た好著の選書化。手書きの栞に「これからは俳人として、よろしく」とある。さて、似非隠遁者みたいなボクに、そんな機会があるだろうか。
橋あれば卒業の日の父のこと 宮尾
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