万能な詩型はない◆乗るべき馬をば、まづよく見て、強き所、弱き所を知るべし(徒然草・186段)
2012年 03月 28日
坂本宮尾著『この世は舞台』に「ものに即して詠むことを心がけたいと思ってはいるが、何かの拍子で、ことばが勝手に句の形に並んで出てくることがある。そのなかでおもしろいと思うものを残しておく。おもしろいといっても、具体的に説明できるとは限らない。解釈できないところ、意味を離れたところに、言葉の不思議さがあるのだろう。作者だけ満足していて、読者は首をかしげているばかりという事態は避けたい。そこで他の人の意見を求めるのだが、誰かが理解を示してくれても、どこまで私と同じことを感じているかは疑問だ。結局、自分の句はそのときの自分の感性の範囲で取捨するほかない」(「混沌」)という一節がある。
良識ある俳人なら、誰もが苦悩するこの問題は、基底において、おそらくボクの持論とつながっているように思う。