ちょっと妙見島を見に◆白山句会余滴
2012年 04月 30日
「花は根に鳥は古巣に帰るなり春のとまりを知るひとぞなき」(崇徳院・千載・春)と詠まれた鳥の巣に季節は感じられないが、連歌・俳諧の歳時記類では春季としているものが多い。ただし、鳥によっては夏季であったり、無季とするものもある。崇徳の歌は〈いったい春はどこに帰ればよいのだろう〉という淋しい歌。
春風の窓開け放ち待ちくれし 海 紅
〔妙見島〕東京都江戸川区東葛西3丁目の一部。旧江戸川の中州である。南北約700m、東西約200m。かつて徐々に移動していた時代があり、「流れる島」と呼ばれていた。今は護岸工事がおこなわれて、その全体が工業地。北側に妙見神社。千葉氏の守護神である妙見菩薩を祀る。すなわち南北朝(十四世紀)以降の記録にある由。江戸時代は行徳船の航路。馬琴『南総里見八犬伝』や周五郎『青べか物語』の舞台。ai君の話では、子どものころの妙見島あたりは、釣り糸を垂れると、じきにカレイ(鰈)なんかが釣れるところだったという。