飛び石連休◆海女たちに海より夏の来たりけり 渉石
2012年 05月 07日
情けないことに、集中講義最終日の昨日は少し疲れた。9時から16時10分までのおしゃべりを、三日続けたのだからやむを得ないか。それで、御褒美に、帰途の乗換駅で一人酒をふるまった。こんなときは誰と話したくもないし、一緒にいたくもない。
たそがれ時の小一時間を居酒屋の止まり木に止まり、目の前のガラスケースに冷えている魚を眺めながらくつろいだ。鰤と思われる一尾がレモンに顎をのせて横たわり、大きな目でボクを見ている。そのくたびれた表情を他人とは思えず、板さんに話しかけると、
――鰤とまでは言えないかナ。まだワラサ(稚鰤)ってとこでしょう。
と言う。ボクは奮発してお刺身でいただいた。一日早い誕生日祝いであった。
海女たちに海より夏の来たりけり 多田渉石