去る七月十四日(土)の「論文を読む会」はボクの当番で、「芭蕉書簡を読む―史邦の辞職―」という題の話をした。中に俳号「泥土」という膳所蕉門の名があり、デイドと紹介したら、「デイドと読むのですか」という質問とも驚きともとれる反応があった。「わかりません。ほかに読みようがなくて…」とお茶を濁したが、後味が悪い。軽く扱ってしまって、泥土に申し訳ない気がしたのだ。それで、デイドの句を紹介して、泥土へのおわびとする。入集数少なきと言えど、『ひさご』『猿蓑』に作品を残すあなたを、こころよりうらやむ。
城 下
鉄炮の遠音に曇る卯月哉 野径
砂の小麦の痩てはらはら 里東
西風にますほの小貝拾はせて 泥土
(以下略) (「鉄炮の」歌仙、『ひさご』所収)
木つゝきにわたして明る水鶏哉 膳所 泥土(「几右日記」、『猿蓑』所収)