ツバメ、二度目の巣立ち
2012年 08月 23日
今年は二度の子育てがあって、いずれも五羽の雛がかえったが、二度とも最も弱々しい雛が巣から地面に落ちていた。一度目はヒヨドリの襲撃にあった悲劇と思い込んだが、二度も同じ事態を目撃してみると、外敵によって死んだのではなく、生き延びる力がないと判断した親が自ら抓んで捨てたとみるのが正しいように思われた。二度目は地面でまだ息をしていたので、娘が家に中に入れてミミズや蜘蛛などを与えていたが、翌朝には息絶えていたので、埋葬してやったという。今年のツバメ観察もこれでおわりのようだ。
ツバメは『産衣』(元禄11)に「春なり。巣も同じ。巣を去るは秋なり」とある。近世に夏ツバメの語はない。『滑稽雑談』(正徳3)に「藻塩草に曰、ツバメは鴈に替はりて来るものなり。また吉日を選りて巣くふものなり。夫妻の間の祝言物なり。二人の女持たざるなり」とある。
山のべや風より下を行く燕 来山(生駒堂)
海づらの虹をけしたる燕かな 其角(続虚栗)
蔵並ぶ裏は燕の通ひ道 凡兆(猿蓑)
夕燕我には翌のあてはなき 一茶(文化句帖)