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帰って来た仏和辞書◆夢をみしころのかずかず春の雪 海 紅

 インターホンがなって、郵便屋さんが小さな荷物を届けてくれた。貼り付いた送り状を見ると「辞書」とある。買った覚えがないと思いながら、送り主の欄をみると、札幌の白石区菊水に住むヒロキ君であった。それで中身がわかった。大学生のころ、彼に貸したフランス語の辞典にちがいない。開梱すると、予想通りオレンジ色の箱入りの辞書が飛び出した。懐かしくて箱から辞書を引き出すと、「雪化粧」と題する絵葉書が挟まっている。社団法人北海道土地改良設計技術協会の制作で、写真は芽室町の落葉松の防風林である。彼は北海道の高校の後輩で、東京に出て公団に勤務していた勤労学生であったが、帰郷後はこの協会で仕事をしていたのだろうか。もう定年の年齢なはずであるから、身辺整理をしているうちに、ひょっこり辞書が飛び出したのであろう。絵葉書には、四十年前の学生時代を追憶して次のようにある。

前略「長い間、ありがとうございました」というよりは「遅くなって、申し訳ありませんでした」。第二外国語(フランス語)の単位を取るのに4年かかりました。

 以下に奥付を記しておこう。

スタンダード佛和辞典/定価 金1500円/1957年5月25日 初版発行/1970年4月1日 18版発行/著者 鈴木信太郎・中平解・渡辺一夫・朝倉季雄・家島光一郎・武者小路実光・三宅徳嘉・松下和則・田島宏/発行者 井上堅/発行所 東京都千代田区神田錦町3-24 株式会社 大修館書店

  夢をみしころのかずかず春の雪    海 紅
by bashomeeting | 2013-02-02 15:25 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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