第24回黒羽芭蕉の里全国俳句大会Ⅰ◆古蹟めぐり
2013年 06月 25日
なすの257号で出かけて前泊し、翌日の句会の中入りに予定された講演をこなして、やまびこ216号で帰って来た。片道一時間足らずの旅なので、往復ともに車窓の景色をながめた。とりわけ往きは小山あたりでゲリラのような豪雨があって退屈せず、『トランヴェール』は読まずに持ち帰った。「山形の文化を育んだ二つの古道 水の古道 陸の古道」を特集していた。
初日は那須塩原でHaさんが迎えてくれて、選者で招かれたMyさんと共に、『おくのほそ道』ゆかりの地を案内してもらった。Haさんは現役教師の時代から高名なアルピニストで、芭蕉の足跡を辿る旅を続けて、その方面の著書もある。事前打ち合わせの電話で、確かめたいところをうっかり話してしまったので、ボクのそのわがままを聞いてもらった形である。
見学地は鍋掛宿(黒磯市)八坂神社の「野を横に」句碑(文化五年建碑の由)、那須塩原玉藻稲荷「秣負ふ」句碑他、稲荷北東約1キロの「狐塚之跡」(玉藻の前の古墳)、鹿子畑翠桃邸跡・墓碑、白旗城碑、「かさねとは」句碑(西教寺)、修験大正院跡、修験光明寺跡「夏山に」句碑である(この二寺のほかに芭蕉の時代にはもうひとつあった由)。ふだんは古蹟めぐりを好まないと言って蛙と遊んでいたMyさんも、このたびは喜んでくれたようだった。道々Myさんが、仕事をかかえて籠もる定宿が那須にあって、いつでも紹介してくれるという話をしてくれる。その地は、卒業生の企画で、いちど泊ったことのある『おくのほそ道』ゆかりの湯であったが、Myさんのいう宿であったかどうか、まったく思い出せなかった。
この間、Haさん宅で冷たい茶菓のもてなしをうけ、本陣問屋であったという昔話や東日本大震災の記憶を話してもらった。玄関先の畑に咲いているニッコウキスゲや紅花をながめた。疲労回復によいと、揉んで嗅がされた柑橘の葉はスダチであったろうか、8の字のおもしろい形なので文庫本に挟んで持ち帰った。
海紅
梅雨晴の空ひろびろともてなさる
もてなしの一つ酸橘の葉を嗅げと
露草にまぎれて狐塚とあり
