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休暇の終わりに◆若沖が来てくれました

学生の卒業論文経過報告や大学院生の研究成果が届く。それぞれ夏季休暇中の研鑚の結果である。ボクはといえば、書架の整理とパソコンの文書フォルダの整理を少ししただけで、夏のほとんどを費してしまった。恥ずかしいことである。

恥ずかしい夏に一区切りつけるべく、日帰りで特別展「若沖が来てくれました」(福島県立美術館)を観に出掛けた(9月11日)。「東日本大震災復興支援特別展」「プライスコレクション江戸絵画の美と生命」などと報道されて人気のようであった。

自宅を始発で出たので、往きの新幹線で朝食に新青森開業記念弁当「津軽味祭」という贅沢をした。ホタテや長芋など山海の美味豊かなもので、箱は天然の竹皮で作ってある。

あれこれ感心していると、「もしや」と声をかけられる。かつて教鞭をとった高等学校の卒業生ユーイチ君だった。新幹線で通勤なのだという。数十年ぶりの遭遇で「お元気そうでよかった」と挨拶されたが、ボクの頭を指さして「スッカリ白クナッチャッテ!」などとからかわれもした。彼もまた立派な壮年という風情であったが、少年期のイタズラっぽい目に変わりはなかった。十月に都内で食事をする約束をした。

開館の一時間以上も前であったが、美術館前はすでに四五十人が列をつくって待っていた。その列は開館のころに五六倍までのびて、ボクが美術館を後にする正午過ぎにも変わりなかった。白露を過ぎた時季にもかかわらず、残暑の厳しい日であった。

若沖への関心は蕪村と同時代の人で、しかも共に京都に住んだという点にあった。また画材を購入する資金に不自由しない裕福な若沖と、贔屓の人々の講に支えられて画業を続けた蕪村との比較にも興味があった。案の定、レゴブロックか銭湯のタイル絵かと思われた「鳥獣花木図屏風」を初めとする着色画はもののあわれに欠けるとはいえ、贅を尽くすことこの上なしという印象であった。ただし蕪村との比較という個人的な関心からいえば、「鶴図屏風」その他、水墨画の線の確かさに深く感動した。

なお編集方針とはいえ、図録に賛文などの釈文がないのが残念であった。また、竹皮の弁当箱は持ち帰って文具箱になっている。

こんなことを書き綴って、何になるとも思えないけれど、(忘れっぽくなっていることを実感するこのごろ)、書き綴ることをやめると、生きた心地がしないのである。呵々
by bashomeeting | 2013-09-22 12:00 | Comments(0)

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