十月にサッポロで母校の高等学校同窓会があった。しかし彼はこの度も欠席であった。表向きは仕事が理由のようだが、融通して休暇をとれない年齢ではないだろう。サッポロは高卒後の三年間を過ごした町で、懐かしいこと限りないと言いつつ、同窓会にはどうしても出席できないらしい。北海道の友人から電話があって、元気なのか、なぜ来ないなどと問われ、出席者の名を並べられて自問自答。その結論は「合わせる顔がない」であった。「誰に合わせる顔がないの」と尋ねると、「自分の高校時代にさ・・・」とつぶやいた。
冬来たりなば出稼ぎに行くといふ 前原貞樹