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本など出すものではない 児島喜久雄

   芭蕉は一巻の書も著したことはない。
 芥川の『雑記』の冒頭の一文は、これである。それにつけ思い出されるのは、わたしが大学で直接指導を受けた児島喜久雄先生が、つねづね「本など出すものではない」とわたしたちを戒められたことであった。そんなことはやくざ(谷地注:原文「やくざ」に傍点)な事だという感じでおっしゃったように憶えている。児島先生の親友の河野与一先生もまた本を出さない方(かた)であった。「美学及美術史科」の研究室を創設された大塚保治 ― 歌人、大塚楠緒子の夫君 ― が、また、生前一冊の著書もなかった。だから、これはわたしたちの受け継ぐべき伝統なのであった。しかし、わたしは、その教えを守らずに、つまらぬ本を数冊、出版してしまった。         ―玉城徹『芭蕉の狂』角川選書―
by bashomeeting | 2013-11-17 20:35 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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