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自分というものがない◆船団の会編『俳句の動物たち』

 「お父さん」と呼ぶ人が三人いる。実の父親と夫の父親と夫、である。実の父親のエピソードは、故人となっていることもあり、私にとっては特別であるが、他人にとってはそうとも思えないので口をつぐむ。夫の父親はつまり義理の父であり、義理をかたるのはむつかしい。残るのは夫のみである。少々反則気味であるが勘弁してもらいたい。
 夫のことを「おとうさん」と呼ぶと、非難する友人がどこに行っても一人はいる。(中略)友人の非難には「子どものことばっかりで、自分というものがない」という意味が込められているが、「自分というものがない」なんて、身軽で素敵なことではないか。(以下略)  ―二村典子「父」より―

▶▶船団の会編『俳句の動物たち』2014.5刊、人文書院。「会員のエッセーによる、あたらしい読む歳時記」(帯)。イヌ・イタチ・イノシシ・ウサギなどに始まり、虫や鳥に続いて人間という一章を設けているところがおもしろい。

by bashomeeting | 2014-05-24 16:40 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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