十分にとは言えないが、今年は十五夜を、十三夜を、そして直前に教えられた月食も見ることができた。紅花先生遺語に、日常を忙しくしている人ほどよい句ができる、ヒマになったので俳句を始めましたという人はほとんどダメなものだ、というのがある。その意味では最近のボクはよい句を授かってもよさそうなものだが、どうも教え通りにはならない。先生の教えは、どれほど忙しくても三十分くらいは今日の自分を振り返る時間をつくりなさいというものであったろう。今年もあと三ヶ月をのこすのみ。一服の清涼剤をもとめて、忙中の閑にめぐまれたいと願っている。
鉦叩聴いてをりしが寝付きたる 海紅