姿情を求めて6◆当季雑詠・兼題・席題
2016年 07月 26日
七月二十四日(日)、そのパネリストのH氏とその同級のY女史が奔走して、中世近世文学研究会+国文学科研究会句会なるものがおこなわれました。出席者は二十数年振りの卒業生十八人ほど。仲間にすでに故人もいて、彼らを偲ぼうと静岡から駆けつける友人や、子連れで参加する人もいて、私はジグソーパズルをするような戸惑いを覚えましたが、次第に昔がよみがえって、十九時過ぎの懇親会を含めて教師冥利につきる時間を得られました。もちろん、彼らが引率した小学生から中学生まで四、五名も投句。会場は江戸開府と同時にできた泰昭山寿仙院(日蓮宗。西浅草3)でした。御住職にあいさつして、旧戦地ガダルカナル島などに眠る遺骨収拾を率先する方であると知り、頭が下がりました。
句会は当季雑詠・兼題・席題の三種が提案されました。当季雑詠はそのその日、その季節に接した季節の詞を通してわき起こる心を詠むもので、私は雷門から仲見世を抜けて浅草寺や淡島堂をめぐって句を作りました。外国人観光客に圧倒され、今は亡き恩師たちと廻った昭和を懐かしみました。兼題は事前に示された宿題で、今回は紫陽花・鰻・大暑・夏の海・サングラス・石・旗・大学・寺・浅草が示されました。私は大学と石を選びました。席題は当日席上で出されるテーマで、今回は私が出題者。浅草に向かう車中で香水と決め、再会した寺の庭で披露しました。小学生・中学生がこの即興を求められる難題に挑戦してくれたのには驚きました。「俳諧は三尺の童にさせよ」(三冊子・赤)ということでしょうか。以下の拙句は、こうした一日がどのような句を生み出すのかという教材です。必ずしも佳句ということではありませんので、念のため。
◆当季雑詠
そのころの羅宇屋いで来よ夏柳
風鈴や仲見世二三割高し
寺涼し十四五人の靴並び
◆兼題(大学・石)
大学が同じえにしや湯帷子
石抱いてまだ蟷螂の鎌細く
◆席題(香水)
香水にひとへ瞼に覚えあり
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次の機会があればぜひ参加し、久しぶりにお会いしたく存じます。ただし、後輩たちのような秀句をひねることはできなさそうですが。
懐かしさに任せてコメントさせていただきました。