思い違い◆旅の途中、夢の途中
2017年 09月 08日
なぜこんなものを保存していたかというと、そこに芭蕉さんが言いそうな「大人はずっと旅の途中。」というキャッチ‐コピーがあったからだ。「大人になったらしたいこと。」とか「大人の休日倶楽部」とか、ずいぶんウルウルさせるコピーも添えてある。
ボクはしみじみして、いつしか「さよならは別れの言葉じゃなくて/再び逢うまでの遠い約束/現在を嘆いても胸を痛めても/ほんの夢の途中」とつぶやいて、これは作詞が来生えつこ、作曲が来生たかおの「夢の途中」)という恋歌であって、「旅の途中」とは無関係であることに、しばらく気づかなかった。そんな呆けに一定の判決を下すまでは捨てられないと思っていたようだ。
ところで、今年の旅は地方在住のメンバーの希望で、横浜の「港の見える丘」に宿をとり、炎天と秋雨の二つの楽しみを味わった。旅の友にと考えて、横浜ゆかりの佳句をさがしたが、歳時記類から眼鏡に叶う句を探すのは至難きわまりなく、以下の四句と淋しい結果に終わった。
海にすむ魚のごと身を月涼し 星布
元町の髪結所ほうせん花 角田 睦美
夕月を見に横浜へ汽船を見に 京極 杞陽
秋暑し立ち働きの起重機船 鷹羽 狩行
このたびの横浜はグループ見学だったので、今まで立ち寄ることのなかった「横浜人形の家」や「大仏次郎記念館」を見学できたことが収穫。県立神奈川近代文学館の企画展は角野栄子の「『魔女の宅急便』展」で新しい視野がひらけたし、久しぶりの「氷川丸」入艦で学んだ歴史は有益なものになると思われた。旅の途中、夢の途中はもうしばらく続くにちがいない。卒業生に感謝である。
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