海紅山房日誌

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大学1年生の選句眼◆発表「日本語と季節感」(初年次ゼミ)で学生が紹介した句

発表「日本語と季節感」(初年次ゼミ)で学生が紹介した句

梅恋ひて卯花拝むなみだ哉     芭蕉
卯の花も母なき宿ぞ冷まじき    芭蕉
卯の花や暗き柳の及び腰      芭蕉
卯の花や盆に奉捨をのせて出る   漱石
→奉捨は報謝。仏への感謝の意でいわゆるお布施。
虹立ちて忽ち君のある如し     虚子
虹消えて忽ち君の無き如し     虚子
向日葵が好きで狂ひて死にし画家  虚子
向日葵を画布一杯に描きけり    虚子
→上記二句は実朝祭(短歌大会)における句。画家はゴッホ。
狂ひつつ死にし君ゆゑ絵の寒さ   秋桜子
→向日葵の発表の際の参考句。画家佐伯祐三の遺作を詠む。
白雨にはしり下るや竹の蟻     丈草
山水に米を搗かせて昼寝かな    一茶
張り通す女の意地や藍浴衣     久女
野を横に馬牽きむけよほととぎす  芭蕉
足首の埃たたいて花菖蒲      一茶
わが恋は人とる沼の花菖蒲     鏡花
狩衣の袖の裏這ふ螢かな      蕪村

牡丹散りて打ち重なりぬ二三片   蕪村
耳際に松風のふく夜長かな     一茶
星月夜罪なきものは寝の早く    蓼汀
星月夜空の高さよ大きさよ     尚白
稲妻を手にとる闇の紙燭かな    芭蕉
稲妻のかきまぜて行く闇夜かな   去来
露の世は露の世ながらさりながら  一茶
日は西に雨の木ずゑや渡り鳥    野坡
色付くや豆腐に落ちて薄紅葉    芭蕉
古寺に灯のともりたる紅葉哉    子規
夜窃かに虫は月下の栗を穿つ    芭蕉
→表現の骨格は「春風暗剪庭前樹/夜雨偸穿石上苔」(傳温・和漢朗詠集・風)を真似る。この詩句は「春風はそらに庭前の樹を剪る、夜雨はひそかに石上の苔を穿つ」と読み、「春風はひそかに庭木に鋏を入れ、夜雨はこっそりと庭石の苔を打っている」という意で、春の庭先の美しさを描く。それを秋に転じた。
七夕や秋を定むる夜のはじめ    芭蕉
菊の香にくらがり登る節句かな   芭蕉
→「くらがり」に暗峠・暗闇を掛ける。
肩に来て人懐かしや赤蜻蛉     漱石
蜻蛉や取りつきかねし草の上    芭蕉
あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁 芭蕉
河豚汁や鯛もあるのに無分別    芭蕉

▶▶今年のクラスは人数が多くて、例年通りのゼミ展開がむずかしく、「日本語と季節感」というテーマで任意に季題を選んでもらい、その言葉の歴史と、言葉の本意にふさわしい例句について口頭発表してもらった。なかなかな選句眼とほめておく。

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by bashomeeting | 2017-09-29 11:11 | Comments(0)

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