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句作の心得◆芭蕉会議10周年記念句会で述べたかったこと

句作の心得◆芭蕉会議10周年記念句会で述べたかったこと

 いま思えば、芭蕉会議の発足は平成17年(2005)で、N氏との運命的な再会でウェブサイトが生まれ、発足イベントがおこなわれたのは翌18年(2006)5月28日のことであった。この2年間は弟の早世や母の野辺送りが続き、職場では組織の統轄に奔走する役回りになるなどと忙しくしていたせいか、事態の推移はぼんやりとしか思い出せない。
 俳句を杖にして暮らすことの仕合わせを噛みしめてはいるものの、所属する俳句雑誌に毎月投句するというリズムにもついてゆけなくなっていた。それで芭蕉会議が平成27年(2015)に10周年を迎えるという話題が出るようになっても実感はわかない。こんな無自覚を叱咤するように有志による記念誌編集委員会がうまれ、平成29年10月22日を刊記とする『芭蕉会議の十年』と『芭蕉会議俳句選集』を作ってもらい、その翌々月の12月2日には記念の俳句会と祝賀会がおこなわれた。以下はその句会で話して、意を尽くせなかった句作の心得の整理である。

 ……句会のある何日も前から時間をかけて趣向を練り、あれこれ思案して、当日に投句する句を手帳に書きためる。歳時記を開き、過去の作例を読み、辞書をひいて慎重に言葉をさがす作業である。芭蕉の伊賀成長期や江戸市中居住期、また蕪村一派の兼題発句会が、おおむねこうした理性と知恵を総動員する作り方をしていた。こうして生まれる句のなかには、ときおり深い味わいをもつものがある。しかし、それをそのまま句会に出しても、自分の考えた深い味わいが連衆に通じなく、重々しい感じは魅力のひとつだが、手がこんでいるために言葉の向こうに画像を結ぶことができず、最終的には読者に警戒されて、互選外に切り捨てられることも多い。
 そうした独り善がりを克服するために、吟行という方法で自分に向かい合うのはきわめて理に叶っている。つまり、ふだんは自分に課された日常をシッカリこなし、句会当日はその日常生活から解き放たれ、最近の自分を見つめ直す時間を得たことに感謝し、投句〆切り時刻を意識しながら、自然の中に句材をさがし、それを言葉に置きかえる語彙力を動員し、制限時間内にまとめるよう、自分を攻めるのだ。
 まがりなりにも、それができたとき、つまり不満ながらも句が出揃ったかに見えたときに、ボクが短時間勝負の吟行(嘱目詠)の結果として気をつけている手続き、7項目を示して参考に供す。決まった時間内に集中して句作するのは、もし出来なかったら怖いと思ったりもするが、実はその怖さ・真剣さこそが、言葉で自己を美しくすくい取る最良の道であると思う。
 なお、つねづね、投句終了までは私語を慎んで、ギリギリまで頑張っている人に気を遣ってくれと申し上げているのは、これが理由である。

1)観察(写生)したか→姿先情後
2)ヘソ(中核)はあるか→感動の焦点
3)必要な言葉のみに絞ったか→文章力
4)言葉を飾っていないか→無駄の削除
5)感情に酔っていないか→私意を捨てよ
6)全体の調子は整ったか→舌頭に千転
7)自分の句と思えるか→主題の確認

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by bashomeeting | 2018-01-21 19:56 | Comments(0)