市村宏先生の担当科目は万葉集で、ボクの分野からはかなり遠いのだけれど、そもそも大学院開講科目にボクの分野はひとつもなかったのだから、当時のボクにとって受講科目と自分の分野との遠近などたいした問題ではなかったことになる。数年のうちに、他大学の研究者と仕事をするようになって、彼らが大学院で専門性を磨いてきたと知って、正直おどろいた。ボクの場合、70年安保騒動の余波で十分に学ぶことのできなかった、その学部時代を補うために大学院に残ったわけで、郷里に戻って教員になる前に、もう少し深く学びたかっただけであった。
先生の郷里は信州の小布施で、何度か小林一茶の話をしてくださったことを覚えている。ある年、その小布施の寺で一茶資料展をするというので、先生に誘われて何人かの大学院生と一緒に出かけた。先生の御親戚に泊めていただくという、かなり図々しい旅であったが、はじめてイナゴを食べることになるなど新鮮な経験であった。そして、一茶資料にはニセモノが多くて、とてもボクの手に負えるものではないことがわかるのは、それからまもなくのことである。その生涯も作品もなかなか個性的な一茶なのに、その筆蹟はまことに癖がなく、その分、ニセモノも多く作られたのである。それで、一茶については、いまだに真贋を見分ける自信がない。
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