私の勤める大学に通信教育部があって、年に一度の地方スクーリングをしてきました。今年は『おくのほそ道』結びの地である岐阜県大垣でした。今年度で定年の私にはこれが最後の集中講義でした。感極まったわけではないのですが、最後であると思うとみんな教えてしまおうという気になって、しゃべりすぎたかと反省しています。恩師の「教えてはいけない」という教訓を破ってしまった気がするのです。これは、教えてもらおうとする学生は伸びないという哲学なのですが、最後の年に失敗してしまいました。「いつまでも俳句が下手な原因は自分を愛しているから。自分ではなく、人生を愛した方がよい」というのもそのひとつです。日々の御仕合わせを祈ります。
靴下のかたちに折れて野分去る 海紅
▶▶『たしなみ俳句会報』44号(平成30年9月)より転載。