はじめての連句2018◆「魚鳥の」脇起こし半歌仙
2019年 01月 19日
魚鳥の心は知らず年忘れ 芭蕉
帽子につもるほどの初雪 富博
ストーブも焚火も季語と驚いて 知里
今も昔も風の子といふ 菜月
石畳来る足音に月白く 真聖
換気扇から届く蕎麦の香 功
虫の夢虫の声とはかぼそくて 真聖
父の上着に口紅の跡 葵
恋仲を見てみぬふりの笠地蔵 舞里奈
大きなビルに変はる四つ辻 功
本当は漫画を描いて稼ぎたい 香葉子
呼んでも返事をしない不機嫌 菜月
人多き待合室もホームにも 千映
賛美歌響く夏の夜の月 真太郎
先生に隠れてアイス食べてをり 香葉子
後悔多き日記読むらし 舞里奈
お下がりの着物にみえず花吹雪 海紅
壺焼きを買ふ青きマニキュア 葵
▶▶平成9年度以降、30年度まで学部3年4年ゼミは連歌俳諧研究で、友人と編んだ『連句の世界』(新典社)を教材にした。毎年30名程度のゼミ生が所属したというと、他大学の研究者は、その受講生の多さに驚いた。連歌俳諧の分野に、毎年そんな人数が集まるものかと疑いの眼を向けるのだが、事実である。本年もその最後に、作る側にまわって芭蕉の「年忘れ」の句を立句に、「はじめての連句」を創作。こうした文芸に一座した昔の人々の知性に驚いてもらった。句案はなかなか難しいらしく、ここに登場するゼミ生は10名(ワタナベ・トミヒロ/フジヌマ・チサト/ゴトウ・ナツキ/トウドウ・マサト/クボタ・タクミ/スガワラ・アオイ/ヒラコ・マリナ/タカハシ・カヨコ/イケダ・チアキ/カンバラ・シンタロウ)だが、切り短冊を受け取って、付句に智恵をしぼった総数は30名である。