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この人の一句◆河瀬俊彦句集『箱眼鏡』ふらんす堂刊

この人の一句◆河瀬俊彦句集『箱眼鏡』ふらんす堂刊

どの船も錨をおろす大旦
まだ年の明けぬ国より初電話
風光る犬のリードの伸び縮み
虎杖を折ればわらべの頃の音
草餅を焼けば母の香父の色
初夏の風を両手に一輪車
名刹のあるじ顔して蟇
冗談も本音の一部ところてん
みんなして濡れて喜ぶ夕立かな
あめんぼの水に弾力ありにけり
「遅れます」とサンタクロースより電話
どろばうも医者もゐぬ島冬ぬくし
切株のここが居場所や冬日向
木の葉散る終の住処探すかに
東京に迷ひ込んだる雪女
煖炉燃ゆ壁に大きな鹿の角

▶▶河瀬俊彦句集『箱眼鏡』。川口襄序。小山徳夫跋。あとがきに、退職後に所沢市で『遠嶺』主催の初心者講座があり、それを受講したのが俳句を始めたきっかけと記す。その後『遠嶺』入会(主宰小澤克巳逝去により終刊)。その後『爽樹』創刊に参加して今日に至る。海紅とは面識はないが、「わくわく題詠鳩の会」(芭蕉会議)に投句されていて、作品は存じ上げていた。帯に自選十句があるが、「みんなして濡れて喜ぶ夕立かな」の一句が上記に紹介した海紅推薦句と重なる。俳人協会会員。ふらんす堂、令和元年(2019)10月刊。


by bashomeeting | 2019-11-14 18:04 | Comments(0)

芭蕉会議の谷地海紅(快一)のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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