写真俳句と画賛
2020年 06月 08日
昭和10年の古都・松江を撮し出した福原信三もまた、写真俳句論を唱えたひとりです。今回は、大正期から昭和初期の日本を代表する写真家・福原信三作(松江風景)をはじめ、雪・月・花を謳う写真家たちの作品を中心に、彼らの自然への豊かな感性を感じ取っていただければ幸いです。
▶▶これは松江市の宍道湖の傍にある、島根県立美術館の「雪・月・花―写真俳句論―」と題する展示パネルの全文である。昨年の11月27日(水)に見学。「写真俳句」ということばに出逢うのは初めてだったから、受付の許可を得て撮影したものを書き出してみた。「写真も、写し撮る一瞬に、現実の事象に対する作者の感性を封じ込める、という点でしばしば俳句に比されます」という一節が興味深い。福原信三(1948没)は実業家(資生堂の創業者)で、写真黎明期に「写真芸術」の確立をめざした写真家とのこと。
今年1月に芭蕉会議サイトがリニューアルされ、トップページに「巻頭写真&俳句」というコンテンツが生まれた。仲間の俳句を紹介するのが目的だが、その句に奥行きとか、物語を添えるために、Takumi Takahashi氏の写真に助けを求めている。連歌俳諧の付合(ツケアイ)や画賛の美学を踏まえた工夫だが、思いのほか好評である。その理由を考えるために「雪・月・花―写真俳句論―」が何らかの示唆を与えてくれることを期待している。