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蛍を見にでかけた

 国道にバイパスができると、そこに大型の市場がうまれ、その周囲をレストランや書店、さらに美容室や修理工場などが軒をつらねて、町は活気を帯びる。
 それでも、そのバイパスを横切って里山沿いを数分入ると、蛍が飛び交っている。そういう自然に三十年ほど親しんできたが、去年はかろうじて二匹を確認するのみであった。
 二日前に、今年はもう見られないだろうと、なかばあきらめ気分で出掛けると、同じ里山の小流れにやはり二匹をたしかめることができた。平家蛍であった。来年はどうであろうか。

音もせで思ひにもゆる蛍こそ鳴く虫よりも哀れなりけれ(源重之・後拾遺)
物思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる玉かとぞ見る(和泉式部・後拾遺)


Commented by 荻原貴美 at 2021-07-04 23:13
近くに蛍の棲む里山があるということが素敵だとおもいました。思わず平家蛍と源氏蛍の違いを辞書で引いてしまいました。十年ほど前に、成田に住む友人が蛍を見に連れて行ってくれました。小川の闇に飛び交う蛍に一同、声を上げて見入ったことを思い出します。以前、
「物思へば・」歌に、出会ったとき、「あくがれる」ということの意味を知って衝撃に近いものを感じました。それ以来この歌は、気にかかる歌でしたので、先生のブログに取り上げられて嬉しくなりました。
源重之「音もせで」は、今回初めて知りました。「哀れ」のある、思いの深い歌にまた出会った感じです。
有難うございました。
by bashomeeting | 2021-06-30 17:48 | Comments(1)

芭蕉会議の谷地海紅(快一)のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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