長き夜◆歌を詠む幸ひ
2021年 09月 18日
ところが、台風の雨が降り続く今宵はうまくいかない。起き出して、手の届く距離にある歌集『サムシング・グッド』(渓声出版、令和1.5.1刊)をひらいて読む。
杖をつく身とはなりたる幸ひは歌人のまなこ得たることなる(雨宮潔・2016)
説くまでもなかろうが、〈歌を詠むことができる自分は幸いである〉という意味。この気持ちにはまことに同感。
雨宮君は大学院で和歌を学んだ後輩で歌人。長く都立高校の教師をしていたが、平成30年7月11日没。享年61。卒業後は学会の場で二三度挨拶を交わすばかりで疎遠に打ち過ぎていたから、大病をされて18年余りガンバッタことを知らなかった。歌集は没後に彼の姉君から贈られた。合掌。