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マイノリティの道をゆく◆たしなみ俳句会会報(No.113)より転載

 結果として終生師事した紅花先生は短期大学所属で、私の在籍する大学院に講座はなかったけれど、俳文学会や関連の月例会、有志の学者で構成される研究会に加えて、虚子や素十系の俳句会へと導いてくれた。そこでわかったことは、私がマイノリティであること。つまり〈研究者に似て、俳人〉、言い替えれば〈俳人に似て、研究者〉という不徹底な輩に見えることだった。ために、このごろ旧交を温めることになった俳人から、「君は紅花先生を継がなかったのだね」と言われたりする。その際には少し考えて、「いや、継いでいるつもりです」と答えることにしている。無論、師匠のようにはゆかないのだけれど。
 この「たしなみ俳句会」は東日本大震災後に、「市民の渇を癒やしたい」という地元の要請から生まれた。「松尾芭蕉の講座」を経て、その受講者に「俳句をたしなむ喜び」を説けということだった。傲慢とは思いながら、〈俳人とも、研究者ともつかない〉私にお似合いの御縁であった。

  安寧を知らする枇杷の皮を剥く    海 紅 


by bashomeeting | 2024-06-21 10:59 | Comments(0)

芭蕉会議の谷地海紅(快一)のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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