私を俳文学研究者の端くれに育ててくれた研究会の名は俳文芸研究会という。その月例会を私の研究室で引き受けた期間はちょうど二十年になる。正式には解散した研究会ゆえ、「俳文芸その後」とでも呼ぶべき時代であった。
旧来のメンバー有志に若手研究者も加えて、すでに終えている輪講の原稿化を軸にしたが、タガが弛んで座談は俳文学全般や思い出話に花がさく。こうして、恩師と呼ぶべき先生方に、月に一度の茶飲み話の場を用意出来たことを、私はささやかな恩返しであったと思い出している。思い出す者がいるかぎり、先生方は生きているのだと信じつつ。
どことなく淋しき留守居籠枕 海 紅