最後の二人旅(其2)◆たしなみ俳句会会報(No.118)より転載
2024年 11月 23日
実際の旅、つまり『曽良旅日記』の中で、芭蕉と曽良は迷うことなく松島から石巻へと向かっているのに、『おくのほそ道』では、途中で「道ふみたがえて」石巻に出て、そこで一泊して北上し、さらに登米(とよま)に一宿して平泉にたどり着いたと書いている。先生によれば〈道を間違えて、石巻という港に出た〉というのは作りごとで、日本海側の酒田と並んで、東北二大貿易港であった石巻を調査する目的を隠すために、「道ふみたがえて」の一節が加えられたというのである。私はそのあたりの謎を探る旅に同道したのであった。
人道といふ言葉このごろうそ寒し 海 紅