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蓮見光春氏の日展特選を祝して(解題・訓読・大意)

【解題】
 詩題「枯魚過河泣」は古楽府に見える五言四句から成る民間歌謡の第一句で、「枯魚、河を過ぎて泣く」と訓ず。「枯魚(コギヨ)」は干した魚で、内容は〈漁師に釣り上げられて干物になった魚が、かつて泳ぎまわった河を過ぎる際に、自分の不注意から漁師の手に落ちたことを悔いて〉、仲間に〈行動には細心の注意が必要である〉ことを説く。李白の詩題「枯魚過河泣」はみずからこの歌謡の翻案であることを示したものと思われる。

【訓読】
 枯魚、河を過ぎて泣く
白龍常服を改め、偶豫且の制を被る。誰か爾をして魚と為ら使めん。徒に労して天帝に訴へ、書を作して鯨鯢に報ず。風濤の勢ひを恃む勿かれ、濤落つれば泥沙に帰し、翻りて螻蟻の噬に遭ふ、万乗出入を慎み、柏人以て誡めと為す。

【大意】
 白龍は造化(宇宙の創造主)の使者。その白龍があろう事か龍の衣を脱ぎ捨て(魚の衣を身につけて泳ぎまわった)。そして、たまたま予且という漁師の手にかかり、捕らえられてしまった。それは不運だが、魚になることは自分が望んだのであり、自業自得といってよい。ゆえに、干魚(もと白龍)は主であった造化にすがったり、文書を以て鯨に訴えたが、聞き入れられなかった。思うに、人は大風や大波に譬えられる時勢なるものに依存してはいけない。一時的に大波や大風の助けを得ても、どのみち勢いを失って泥砂に混じり、虫けらの餌食になるのが落ちなのだから。万乗、すなわち帝王といえども行動を慎み、用心深くあったという、あの柏人城(河北省)の地における故事を教訓とせよ。
by bashomeeting | 2025-11-29 11:48 | Comments(0)

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