『海内人名録』―俳諧の目的は出離遁世―
2006年 09月 02日
西馬は、西行が出家の心を詠んだ歌「同じ心を/世を厭ふ名をだにもさは留め置きて数ならぬ身の思ひ出にせん」(西行・山家集・雑)を引きながら、〈この西行歌に見える、名を遺そうという気持ちは、この世の思い出とするという意味で、最初の仏道修行であろう。この世の思い出がなければ、出家後の修行も却って怠慢になり、仏道への専心がむずかしい。ところで、この『俳諧 海内人名録』は国内の俳人一千名以上の通称までも記してあるが、その意図は先掲の西行歌に同じく、俳諧への専念を出離修行の最初の思い出として、長く後世に残そうとするものであろう…〉と書いている。