水澄むや母を葬る詩を碑とし 海紅
2006年 09月 22日
東洋大学俳文学研究会の一泊研修で木曽を旅したのは平成十一年九月十日と十一日の二日間である。木曽馬籠、妻籠、奈良井宿、木曽福島、薮原宿、寝覚めの床などをめぐる。馬籠の永昌寺で島崎藤村の詩碑に遭遇した。この句は、木曽の秋深き山河と藤村の詩とがわたくしの身体を通り抜けるときに出てきた、溜息のようなものであった。
母を葬るの歌 島崎藤村
きみがはかばに きゞくあり
きみがはかばに さかきあり
くさはにつゆは しげくして
おもからずやは そのしるし
いつかねむりを さめいでて
いつかへりこん わがはゝよ