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俳諧会席と句会

 十六日の午後は俳文学会東京研究例会(早稲田大)へゆく。今月は第十回テーマ研究「文化史としての俳諧会席―所作・作法の実際」(一般公開)で、「俳諧会席の空間と時間―式目作法書の検討を通して」と題する堀切実氏の発表、「美濃派宗匠による俳諧会席の実態」と題して、大野鵠士氏(美濃派第四十一世宗匠)による「獅子門正式俳諧の現在」という学習をした。

 翌十七日は芭蕉会議と俳文学研究会合同の忘年句会で、千駄木・谷中を経て根岸の子規庵を吟行し、甫水会館で句会をした。この会では、メンバーの現状にもっとも有効な句会のあり方を模索してきたが、この日は進行係のIM氏が披講・合評が済むまで作者を名のらない方法を採用し、忌憚のない意見交換の場を創出してみせた。期せずして、古典俳諧の時代と現代の句会の形式について考えさせられたのである。

  そして、再確認したことは「正式(しようしき)俳諧」が儀式つまり晴の文芸であり、芭蕉七部集や『おくのほそ道』の旅の途次に巻かれた褻の俳諧とは異なること、晴の文芸とは姿を優先し、褻の文芸は内容を重んじることである。近代俳句(句作・発表・批評)とは、どこまでも褻の文芸であり、子規の改革とは連歌俳諧史における晴と褻の交替を求めたもののように感じた。とすれば、わたしは時に規模の大きい句会に参加するが、それらはどれひとつとして正式な、つまり晴の句会ではないことになる。

 このあたりの理解を誤ると、近代俳句の把握ばかりか、古典俳諧についても誤診することになろう。
by bashomeeting | 2006-12-18 16:32 | Comments(0)

芭蕉会議の谷地海紅(本名は快一)のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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