ひぐらし堂さんのこと
2008年 04月 02日
ひぐらし堂さんは多才で、玄人跣足の噺家でもあるから、その軽妙な文章を味わうのがよいのだが、今はその為人がわかる一文を記憶にとどめよう。今なぜ大学生と向き合っているかが伝わるし、ボク自身が企業に勤めきれなかった昔をふりかえるよすがとしたいから。以下六行がそのひぐらし堂さんの文章である。
公務員や民間企業のサラリーマンを対象としたライフプランセミナーの講師をしてまいりました。厳しい世相を反映してか、セミナーの受講者年齢は年々若返り、内容も健康、生きがい、家計だけでなく、キャリア開発も加えてほしいと範囲を広げてまいりました。
しかし、毎度このキャリアセミナーを担当しながら感じておりましたことは、サラリーマンも大変ですが、実は、本当に今、このセミナーを必要としているのは、これから職を得ようとしている、もっと若い人たちなのではないだろうかということでありました。
なお、心に残る句を以下に書きとめることにする。
啓蟄の埴輪の深き瞳かな
碧き眼の僧ぼうたんの庭を掃く
浅草は路地の奥まで夏祭り
羅や祇園の午後は猫の道
昼の湯の戦話や秋暑し
新涼や煮物教はる娘の素直
猫見れば猫に寄り道一年生
峰の湯はわれ一人なり星月夜
野生馬の足みな太き花野かな
山小屋に釘音響き冬に入る
七五三兄の写真の母若し
釣堀の一人離れて冬日和