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続 身体を使って詠む

 文子さんが便りをくれて、〈先生は予言者かも…〉という。彼女が郷里の「登米芭蕉祭俳句大会」に投じた三句のうち、ボクがなにげなく〈これが特選だよ〉と言った句が、本当に蓬田紀枝子氏の特選一席に入選したのだ。彼女が事前に投句を見せてくれた理由は、三句のうちの一句中に、『おくのほそ道』をテーマに地名「登米」を詠み込む句があり、それを『おくのほそ道』曽良本の表記に忠実にするかどうかで迷っていたからだ。『おくのほそ道』の「登米」は「戸伊摩」の三字を宛て、しかも「摩」の中は略されている。マダレだけなのである。ボクは、そこまで表記にこだわる必要はないと答えて、ほかの一句を指さして〈これが特選〉と言った。不遜ながら励ましのつもりであった。
 毎年、投句用紙が届いても参加したことがなかったという。最近、厳父が先立たれている天界に御母堂を送られて、心持ちが改まったのであろう。句は次の通り。

  梨の花鍵あけて入る父母の家     文子

 過日「身体を使って詠む」という一文を書いたが、この句はその例にふさわしい。予言者になるのも悪くはないが、その修行とは一枚刃の足駄で山を翔けたり、箒に乗って空を飛んだりするのであろうか。ボクはその器ではない。
by bashomeeting | 2008-06-27 14:52 | Comments(0)

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