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「室の八島」の執筆意図◆俳諧講座始末

 『おくのほそ道』「室の八島」章段の執筆意図について、講義では繰り返し話しているつもりだが、小論文(essay type )試験をすると、〈「旅で初めて訪れた歌枕」にもかかわらず「本命とする陸奥のはるか手前の名所だった」ことや「この歌枕が期待を裏切るものであった」ために曽良の縁起譚のみに終始している〉という論調がほとんどである。尾形仂著『おくのほそ道評釈』(角川書店)に従っている人々である。
 だから、あえて繰り返しておこう。芭蕉の陸奥行脚の目的のひとつは歌枕探訪である。陸奥行脚は白河の関からはじまるが、そこに至る前の、なるべく早い時期に「歌枕とはなにか」を解説する必要がある。その適切な箇所として室の八島が選ばれている。その本意を縁起という方法で解説しているのである。このことは「又煙を読習はし侍るもこの謂也」という知識を踏まえて、「糸遊に結つきたる煙哉 翁」(『曽良旅日記』)とあることでもわかると思うのだが…。
Commented by 栃木市惣社町の住人 at 2008-09-06 08:35 x
「芭蕉の陸奥行脚の目的のひとつは歌枕探訪である。」
確かにそうだと思いますが、当時は今のように観光開発が進んでおりません。歌枕は歌枕であるというばかりでなく、当時の名所でもありました。
今の観光名所みたいなもんです。芭蕉らが室の八島を訪れたのも、そこが歌枕であるというばかりでなく、室の八島は当時「下野国に二つとない名所」(下野風土記)だったからです。

日光を訪れるついでに室の八島を訪れたような書き方をしている参考書がいくつもありますが、それは間違いです。下野国の最大の目的地は室の八島です。芭蕉らは日光を訪れたと言うより東照宮を訪れたのです。
「芭蕉の陸奥行脚の目的のひとつは歌枕探訪である。」より、東照宮は本来の目的地ではありません。


Commented by 栃木市惣社町の住人 at 2008-10-07 17:38 x
<糸遊に結つきたる煙哉>について

大神神社に来られた方は分かると思いますが、ここは木が鬱蒼としていて、とても陽炎の立つような場所ではありません。

芭蕉は曽良に、この神社が室の八島ですといつて案内されましたが、とてもこんな神社が室の八島であるなどとは信じられなかったのです。

曽良が持参した備忘録に「・・・名のみなりけり」「跡もなき・・・」の和歌が載っていますが、芭蕉も当時の室の八島は「跡もなし」と考えていました。

つまり当時の室の八島は、昔日の面影がすっかり無くなり、野原や田畑など陽炎が立ちそうな何も無い場所に変わっているだろうと芭蕉は考えていました。当時、芭蕉同様に考える人は沢山おりました。そしてそれが正解です。曽良が紹介する神社の室の八島などというものは当時でさえ存在しませんでした。これはこの神社の大嘘です。曽良は単に神社の言う事を芭蕉に紹介しただけなのです。

曽良が持参した備忘録に「・・・名のみなりけり」「跡もなき・・・」の和歌が載っていますように、曽良自身神社が言う事を100%信じたわけではありません。
Commented by 栃木市惣社町の住人 at 2008-10-07 18:39 x
芭蕉訪問当時の室の八島を誤解されているといけませんので補足しておきます。

当時の代表的な室の八島は神社境内にある八つの小島のある池で、下野国外まで知られていました。(貝原益軒の[日光名勝記]参照)

この「池の室の八島」と曽良が紹介する「神社の室の八島」とは、起源が
全く異なります。

[奥の細道]の中で曽良は「室の八島とは一般に知られている池のことではありません。実は神社(の神域、境内一帯)のことです」と芭蕉に話しているのです。池がこの神社の祭神木花咲耶姫の無戸室の故事の舞台になれる訳が御座いませんでしょう。また無戸室の故事に池は一切登場しませんでしょう。

Commented by 栃木市惣社町の住人 at 2008-10-07 19:24 x
室の八島とは、芭蕉当時の江戸の町人によく知られた名所で、かつ下野国に二つと無い名所です。そういう名所を芭蕉は訪れているのですから、芭蕉が[奥の細道]に室の八島のことを書かなかったらおかしいでしょう。


これが[奥の細道]室の八島の段執筆の最大の理由です。
Commented by 栃木市惣社町の住人 at 2009-12-07 07:41 x
「奥の細道」室の八島の段を、ちゃんと根拠を示して正しく解釈しているのは室の八島保存会のHP「歌枕室の八島の歴史の旅」しかありません。

「奥の細道」解説書の説明は全て出鱈目だと思ってお忘れになったほうがよろしいと思います。

室の八島保存会のHPは、極めて科学的に解析された超一級の研究報告です。そして過去300年間誰一人として解読できなかった室の八島の段を完璧に解読しています。
Commented by 栃木市惣社町の住人 at 2009-12-07 07:49 x
「奥の細道」室の八島の段を、ちゃんと根拠を示して正しく解釈しているのは室の八島保存会のHP「歌枕室の八島の歴史の旅」しかありません。

これは、極めて科学的に解析された超一級の研究報告です。そして過去300年間誰一人として解読できなかった室の八島の段を完璧に解読しています。

「奥の細道」解説書の説明は全て出鱈目だと思ってお忘れになったほうがよろしいと思います。
by bashomeeting | 2008-08-21 11:13 | Comments(6)

芭蕉会議の谷地海紅(本名は快一)のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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