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三界流浪の桃尻

     笠着て馬に乗りたる坊主は、いづれの境より出でて
    何をむさぼり歩くにや。このぬしの言へる、これは予が
    旅の姿を写せりとかや。さればこそ、三界流浪の桃尻、
    落ちてあやまちすることなかれ。

   馬ぼくぼく我を絵に見る夏野かな
 
 今日は「かげろう金曜会」で、まず天和三年(一六八三)の「馬ぼくぼく我を絵に見る夏野かな」句文を読んだ。句文末尾に「三界流浪の桃尻、落ちてあやまちすることなかれ」とあって、前年歳末の大火で芭蕉庵を失ってまもなく、自分を生死往来する世界の危なっかしい旅人に擬していることを強調した。『野ざらし紀行』の前に、すでに漢詩人を気取る深川隠栖の詩人を脱していたといってよい。
 五月に芭蕉は甲斐から江戸(あるいは江東深川)に戻り仮寓。六月、郷里の母没。すぐに帰郷して墓前の手を合わせるべきところ、かなぬ事情によって帰郷を断念。その理由を病弱という視点で説いた。延宝八年(一六八〇)冬の深川隠栖が、そもそも病弱によるものというのが拙論である。この冬、門人知己の喜捨により新庵(第二次芭蕉庵)ができたというが、それは旧庵(第一次芭蕉庵)と異なり、隠栖を気どるものではなかった。
by bashomeeting | 2009-07-03 15:33 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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